普通の人

タイトルに深い意味がないかというとそんなこともない

あ 常識人

い 天性のぼけ

う チャラそうな兄ちゃん

だべる二人、並んで座って二人ともスマホ、ひとりが腕に止まった蚊を叩き潰す

あ「うわ・・・きったねえ・・・蚊飛んでんじゃんここ」

蚊の死体をつまみ捨てる、もう一人がスマホから顔上げる

い「金・・・金がほしい」

あ「バイトすりゃいいじゃん」

い「めんどい」

あ「じゃあ節約すれば」

い「無理・・・」

あ「金って自然に湧き出すものじゃないって知ってる?」

い「へえ、そうなんだ」

無言

い「じゃあせめて楽なバイト・・・」

あ「例えば?」

い「息するだけで時給5000円」

あ「ねーよ」

い「歩けば追加ボーナス付き」

あ「そんなんあったら俺もやりたい」

無言でスマホ

い「あ」

あ「あ?」

い「めっちゃいいのみっけ」

あ「ほお」

い「『ボタンを押すだけ!一回あたり10000円!』」

あ「びっくりするほどうさんくせえな」

い「ちょっとやってみるわ」

あ「・・・いやいやいや、もう少し慎重になろう、な?なんか他にも書いてあんだろ!」

い「え、申し込んじゃった」

あ「早い!」

配達のお兄さんっぽい人登場

う「うっす、ボタンのバイト申し込まれたのってどちら様ですかー?」

あ「早い!」

い「あ、俺です」

う「あ、はい。こちらボタンになりまーす」

い「ありがとうございまーす」

う「失礼しまーす」

兄ちゃん立ち去りかけ、振り向く

う「やっべ、忘れてた・・・それ押すたびに誰かが死ぬらしいんで」

あ「・・・ん?」

う「くれぐれも慎重に、とのことっす」

い「うぃっす」

兄ちゃん今度こそ去る

あ「いやいやいやいや、やばいじゃん!人死ぬって!!!」

い「でもそれで一万もらえるし」

あ「人の命は地球よりも重いって言うじゃん!」

い「や、でも一万」

あ「とりあえず、もっと考えよう、な?」

あ、ボタン奪取

い「えー・・・」

あ「お前、小学校で『いのちはだいじ』みたいなこと言われなかったのかよ」

い「たぶん、言われた」

あ「誰かの命と、一万ぽっちが釣り合うわけないだろ」

兄ちゃん出てくる

う「お?一万じゃなければいいんすか?」

あい「うわっ」

う「いくらならこれ、押すんすか?」

い「一万でいいっすよ」

う「あー、お兄さんにはきいてないんすよねー」

い「すんません」

う「いえいえ、言い方が悪かったっす。」

二人でにこにこしてる

う「で、そっちのお兄さんはいくらなら押すんすか」

あ「いくらでも押さねえよ!!」

う「たかが一人の命で粘りますねえ・・・一回100万!」

あ「だから」

う「じゃあ100円」

あ「なんで下がんだよ!」

う「ごねますねえ・・・じゃあ一億円でどうでしょう」

い「押します!」

う「だからお兄さんには聞いてないんですわ」

い「けちー」

あ「・・・いや、俺は押さないからな」

う「あー、そっすか。まあ、それならそれでいいんすけど」

い「まじかお前・・・信じらんねー、引くわー」

あ「なんで俺がおかしいみたいに言われてんだよ!」

ふたり、肩をすくめる、うは立ち去る

い、スマホ画面ちらっと見る

い「あ、やべ、そろそろ帰るわ」

あ「お、おう・・・」

い「やー、すまねえな、バイト遅刻するわけにはいかないから」

あ「お前バイトやってたのかよ?!」

い「言ってなかったっけ・・・じゃあな」

あ「あ、おい!」

走り去るい、残されるあとスイッチ

あ、スイッチを見つめる

あ「まあ・・・どうせ嘘だろうな」

まだ見つめる

その後一回そっとスイッチを押す

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