鯖ルタンは語ることができるのか

超短編。1時間で書き上げたのでアラが多い。

鯖の切り身 2切れ

長ネギ お好みで

しょうがスライス 4~5枚

味噌 30g

砂糖 大さじ3

(しょうゆ 大さじ1)

酒(日本酒) 大さじ4

水 80ml

赤黒く暗い空間、ジュージューおいしそうな音が聞こえる

ショウガ:大丈夫か?

ネギ:うん、でも暗いし・・・狭くて、ちょっと怖いかも

ショウガ:・・・あっちいな

ネギ:あ、それは慣れてきたかも

ショウガ:お前強いな・・・えーっと

ネギ:ねぎ、だよ

ショウガ:おお、わりい。名前覚えるの苦手なんだよ

ネギ:大丈夫?

鯖:・・・

ネギ:大丈夫?

鯖:あ、ああ、俺?俺は大丈夫、お構いなく

ネギ:よかった

鯖:慣れてるし・・・

鯖:慣れてるし・・・(ちらっ)慣れてるし!

ネギ:なにかあったの?

鯖:えっ、ど、どうしたの、急に

ネギ:何でって・・・なんかありそうだったから

鯖:いや参ったなあ、こんなに早く伝わるものなんだなあ、いやあ困った

ネギ:無理にとは言わないけd―

鯖:(食い気味)俺、実は前に、いじめ、うけててさ

ネギショー:ええ?!

鯖:ええ?俺の名前聞いたことなかった?変な噂付きでさ。それでハブられてるもんだと思った

二人、顔を見合わせる

(あいつ、名乗ったっけ)(一回聞いた気がする・・・)

ショウガ:お前、名前なんだっけ

鯖:!!・・・そっか、まあ、こんなのの名前なんて覚えてないよね、うんわかるよ。当然っちゃ当然だよな、うん、うん、こんな臭くて暗くて汚いやつ近寄りたくもないよな―

ネギ:鯖!鯖君じゃなかったっけ

鯖:ああ。俺は鯖。厳密に言えば真鯖の中骨付きの切り身だ

ショウガ:鯖・・・特に聞いたことないな

ネギ:私も

鯖:よかった

鯖:いやあ!よかったなあ!あんなことがあったのにここには伝わってないんだなあ!

ショウガ:何が!!あったんだ!!!!

鯖:・・・聞きたい?長い話になるし面白くないと思うんだけど

ネギ:無理にとh―

鯖:全ての始まりは俺がまだパックから出たてのまっさらな切り身だった頃だ・・・

照明転換、白い照明(生の鯖の切り身色)、ネギショーはける

生鯖:ここは・・・どこだろう

お湯が入ってくる

お湯:・・・

生鯖:君は、誰?

お湯:・・・

お湯、近づく

生鯖:どうしたの・・・?怖いよ?・・・やめて、こないで!

お湯、生鯖に触れ、生鯖は絶叫する

鯖:あのときの焼き付くような痛み、恐怖・・・二度と忘れない。あの時俺は変わってしまったんだ、不可逆的にな・・・でもこれで終わりじゃなかったんだ

照明転換(ちょっと焼けた鯖の切り身色)調味料組とショウガ入る

ショウガは隅っこで寝たりスマホいじってる、酒水はちょっと離れて二人でお話ししてる

砂糖:あ、新入りさん?ようこそ!

鯖:・・・ここは?

味噌:みんなでおいしくなるための集まりだよ

鯖:おいしく?

醤油:おいしくなるってことは・・・よりよい自分になるってことなんだよ

鯖:・・・

醤油:っていっても、硬くなったら食感が悪くなっちゃうしな、楽しくいこうぜ

鯖:よろしく・・・お願いします

醤油:おう、俺は醤油

砂糖:私は砂糖!

味噌:俺は味噌

鯖:あの、隅にいるのは

味噌:新入りか・・・?

ショウガ:・・・(視線に気付く)あ、ショウガっす。よろしく。

ショウガは寝る。鯖は水に気がつく

鯖:お、お前・・・!

水:・・・私?

砂糖:どうしたの?

鯖:こいつ、前に俺にひどいことしたやつなんです!

醤油:水がア???

砂糖:水は私達をつなげてくれた大切な仲間だからなあ・・・人違いじゃない?

鯖:そんなことはない!俺がこいつの顔を間違えるわけがない!

味噌:そうは言ってもなあ、水はそんなやつじゃ

鯖:騙されてるんだよ!!

酒:お前、さっきから黙って聞いてりゃ人の仲間を好き勝手言いやがって・・・

水:酒・・・

酒:それだけ言うってことは、当然それなりの根拠があるんだろうなあ?!

鯖:お、俺は・・・

酒、匂いを嗅ぎ出す

酒:お前、生臭いな

鯖:!!そ、そうだとしても今は関係ないだろ

酒:そうだなあ、他の場所なら、な。ゴミ箱とか

味噌:おい

砂糖:確かににおうけど・・・そんなはっきり言わなくてもいいじゃない

鯖:え、におうの

醤油:気付いてなかったのk(もごもご)

味噌:みんなで改善していけばいいだろ!鯖も、酒も、落ち着け!

鯖班と酒班に別れ、酒班は何かを話し合っている、水は蒸発する

鯖:・・・

砂糖:ごめんねえ、酒、水のこと大好きって言うか・・・ちょっと熱くなり易いんだよねえ。根は優しいし面倒見もいいやつだと思うんだけど・・・

鯖:・・・だろ

砂糖:え?

鯖:君も、俺のこと臭いって思ってるんだろ!

砂糖:どうしたの、急に

鯖:俺が、臭いから、生じゃないから、見下してるんだろ、どうせ

砂糖:そんなことないよ

鯖:嘘つけ

砂糖:ええ・・・

鯖:さっきも味方になってくれなかったし

砂糖:なってほしかったの?

鯖:だって!俺は嘘なんてついてないし正しいことを言ってたのに!

砂糖:私も私なりに正しいと思ったこと言ったんだけど

鯖:どうして俺ばっかり責めるんだよ

砂糖:ええ?!

鯖:もういいんだ、どうせ俺に味方はいないんだ

砂糖:そんなこと

鯖:もう話しかけないでくれ!俺の味方をするふりして善人ぶりたいだけなんだろ!

砂糖:・・・

鯖:どうせあっちで俺の悪口言ってんだよ・・・どうせ俺は仲良しこよしの中に入り込んでしまった部外者なんだ・・・

砂糖:それはない!

鯖:うるせえ!

酒班、合流

味噌:鯖君、俺たちなりに考えてみたんだけど

鯖:はい?

醤油:正直、お前は臭い。クセが強すぎる。でもここにはそれをどうにかできるメンバーがいるんだ

酒:俺だ

醤油:酒はこんななりだが実は他の食材のサポートが得意でな、生臭さなんかも消してしまえるらしい

酒:こんなりってなんだよ

味噌:どうだ、おいしくなるために、彼の力を借りてみないか?

鯖:・・・(わなわな)

味噌:どうした?

鯖:結局、俺のこと馬鹿にしてたんじゃねえか!!臭い臭いって

醤油:いや、でもお前実際くせーぞ

鯖:そんなことはわかってる!俺だってなんとかしたいさ!

味噌:だからその改善法を・・・

酒:しゃらくせえ

酒、鯖に腹パン

鯖:うげぼ

照明転換(最初の状態に戻る)

鯖:こういうことがあってさ・・・

ショウガ:え、おわり?

鯖:そのあともあいつらにひどい目に遭わされ続けて・・・声を上げることも許されず・・・

ネギ:例えば?

鯖:あんなことやこんなこと

ショウガ:・・・一つ言っていいか?

鯖:どうした?

ショウガ:別に、酷い目に遭わせたと言うよりもそいつらの活動をしていただけなんじゃないか?

鯖:へ?

ショウガ:だって、おいしくなる会だったんだろ?

鯖:・・・

ショウガ:お前の臭みも消えてるし・・・

ネギ:・・・鯖君?

鯖:お前もそういうやつだったのか・・・えーっと

ショウガ:ショウガ

鯖:ショウガ。何も知らないお前らならちゃんと仲良くなれると思ったのに・・・

ショウガ:何言ってんだお前

鯖:うるさい!うるさい!俺の前で喋るんじゃねえよ!!

ショウガ:はあ?

ネギ:・・・ショウガ君、いったん抑えて・・・

鯖:君なら俺のことわかってくれるんだね!

ネギ:え・・・?

鯖:だって、味方になってくれた!

ネギ:・・・

鯖:違う?

ネギ:・・・そうだね

鯖:嬉しいなあ、初めての友達だ

ネギ:・・・・・・そうだね

鯖:ねえ、名前聞いてもいい?

ネギ:・・・・・・・・・そうだね

照明転換(食卓のテーブル感)

鯖:あ、明るくなって・・・また場所が移ったね

ネギ:・・・そうだね

人の声:いただきまーす

鯖:ねえ、ところでおいしくなるって結局どういうことだったのかな

ネギ:・・・

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