新歓

努力しないやつのきったねえ嫉妬とか書きたかった

ハナ 元"天才"画家、父の死をきっかけに筆を折っている。亜桜華

ハルカ 美術部員。青野遙香

チナツ 名誉美術部員。ハルカと仲が良い。赤川千夏

アキ 後輩男子。気が弱いが実は気が弱い。白石亜紀

トーヤ 顧問。実は凄い人、なんてことはない。黒崎灯矢

生徒 今のところ二人

放課後の教室。帰りのホームが終わってから時間が経ち人もまばら、遠くから吹奏楽部の練習する音とか運動部のランニングのかけ声とかが聞こえている

生徒二人が興奮気味に話している。声がでかい。その近くでハルカが居眠りをしていて、ハナが頭の良さそうな本を読んでいる

:ねえ、聞いた?

:何

:今日入ってきた転校生って実は...(ごにょごにょ)

ごにょごにょしている内容にハルカが露骨に興味を示す

:え、本当?!

:まじまじ

ハナ:...

:...にらまれちゃった

:チサの声が大きいからだよ

:えぇ、酷くない?

そう言いつつチラチラ様子をうかがいながらひそひそ話はやめない。感じが悪い

ハナ:何か、用ですか?

:うわ!

:わあ!

:えっと、ど、どうしたの?

ハナ:さっきからこっちが気になってるみたいだったので

:そっそんなこと

:えっと、さ、亜桜、華ちゃん?

ハナ:...そうですけど

:絵、描いてたりする?

ハナ:...(とても不機嫌そうor完全に無反応)

:ねぇやめようよ

:名前にね、その、聞き覚えがあって...前新聞とかによく載ってたあの子かなって思ったんだけど

ハナ:私、今、絵なんて描いてないから

:あ、うん、ごめん、違ったみたい

ハナ:"神童"を期待していたならごめんなさい

ハナ立ち去る

:こわぁ...

:ねえやっぱり違ったじゃん...あんな凄い子がうちみたいな普通の高校に来るわけないって

:えー...でも亜と桜の亜桜なんて名字そうそうないし

:そもそも名前、それであってるの?

:うん、さすがに名前は覚えてなかったから昔の新聞とか見返して確認したし

話し続ける生徒二人、ハルカは急に立ち上がると教室を出て行く

場転

部活動中の美術準備室。アキが絵を描こうとしているのをチナツが全力で邪魔をしてい

る。アキはまんざらでもなさそう

チナツ:ねえ、アキ

アキ:...なんですか

チナツ:毎日毎日おんなじやつに向き合っててよく飽きないね

アキ:うるさいです

チナツ:いつになったら完成するのそれ

アキ:先輩が邪魔をしなくなったらすぐにできあがりますよ

チナツ:あたし邪魔なんてしてないよ

アキ:ずっと喋ってるじゃないですか。集中できないんですよ

チナツ:じゃあ黙る

アキ:え

沈黙、アキがおろおろする

チナツ:ほら、私が喋ってなくても進まないじゃん

アキ、無視。

ハルカが入ってくる

ハルカ:ねえねえねえ聞いて!!聞いてよきいて

チナツ:あーあーうるさいうるさい。どうしたの?

ハルカ:新歓の季節になったよ!

アキ:...何言ってるんですか?

ハルカ:よかったね、アキ。これで延々終わらないその絵と一人で向き合い続けなくてよくなるよ

アキ:ほんとに何言ってんですか!

チナツ:新歓って、春にやるもんでしょ。今やっても新入生なんて

ハルカ:いるんだなぁ、新入生じゃないけど

チナツ:というと?

ハルカ:うちのクラス、転校生が入ってきたってことは知ってる?

チナツ:ああ...うっすら話には聞くよ。でもそれがどうしたの?

ハルカ:それがなんと、あの、我が県の誇る神童、亜桜華なんだよ!

アキ:亜桜??!!マジですか?!?!

チナツ:...有名人?

ハルカ:小さい頃からしょっちゅう新聞とかテレビとかで取り上げられてたしチナツでも知ってるでしょ、絵画コンクールで最優秀賞をとり続けてるとか海外の凄い人に才能を認められたとか10歳でパトロン付きになったとか言われてるあの子だよ

チナツ:え、それ都市伝説じゃないの?

ハルカ:ちーがーうーよー...あ、でもさすがに最後のあたりはあやしいかもしれないけど

アキ:もしかして、亜桜華を勧誘しようって言ってるんですか?

ハルカ:そう!

アキ:凄いなぁ...あんな有名人がうちに...来年から人が増えそうだなぁ

ハルカ:異論なし?

アキ:ないです!

チナツ:ねえ、ハルk

ハルカ:よし、全会一致だね

アキ:はい!

チナツ:ハルカってば

ハルカ:さっき書類もって職員室に向かうのが見えたから今ならまだ学校にいるはずだよ

アキ:レッツゴー!

チナツ:ハルカ!

ハルカ:後で聞く!

ハルカとアキ、駆けだしていく

チナツ:もう...

トーヤとハナが入ってくる

トーヤ:あれ、なんで赤川だけ...美術部の子達は?

チナツ:転校生を勧誘しに行くって言って駆けだしていきましたよ

トーヤ:ええ...連れてきちゃったよ、転校生

チナツ:その人が?

トーヤ:うん、噂の転校生。亜桜華さん

ハナ、ぼんやりしてる

チナツ:あ、どうも、よろしくお願いします

ハナ:...美術部、の人?

チナツ:は、はい、いや、違います、ここに入り浸ってるけど正式には違うっていうか

トーヤ:名誉美術部員の赤川千夏だ、部員ではないが部員並に姿を見ることになると思うぞ

チナツ:これからよろしくお願いします

ハナ:...

チナツ:(ひそひそ)え、もうこの子入る感じなんですか

トーヤ:わからん。凄いやつがいたから、とりあえず連れてきてあとは美術部の連中の、というか青野のノリでなるようになるかと

チナツ:丸投げですか

トーヤ:すまんすまん

ハナ:あの、黒崎先生...帰っていいですか

チナツ:え?

ハナ:ちょっと見るだけって...その、だから

トーヤ:え、美術部、興味ない?

ハナ:興味も何も活動も部員も見てないんですけど

トーヤ:確かに...

ハナ:ええ、そういうわけなので

トーヤ:おう、おつかれさん

チナツ:帰しちゃ駄目でしょ馬鹿﨑!

トーヤ:え?

ハナ:...なんですか

チナツ:いや、えっと、しばらくしたら部員帰ってくると思うんで、それまで待っててほしいなっていうか

ハナ:嫌です。...それに私、もう絵は描かないので

チナツ:え?

ハナ:絵を描かない人間は美術部に必要ないですよね?

チナツ:どういうこと?あなた"神童"なんでしょ?

ハナ:失礼します

沈黙

トーヤ:あ、帰っちゃった

チナツ:帰っちゃった、じゃないですよ馬鹿﨑先生

トーヤ:こら先生にそういう口の利き方

チナツ:やかましいですよ...まったく、どういう連れてき方したんですか

トーヤ:どういうって...

ハルカ:黒崎~~~!!

ハルカが駆け込んでくる

ハルカ:聞いたよ、黒崎。転校生を連れ歩いていたそうじゃないか、さっさと...

アキ:先輩悪役っぽいですよ、勧誘する気あるんですか

アキがちょっと疲れて入ってくる

トーヤ:君たち、どこにいたんだい、転校生帰っちゃったじゃないか

ハルカ:え?

チナツ:さっきまで来てたんだよ転校生、ここに、見学で

ハルカ:だむしっと!!(dombshit)

アキ:すれ違っちゃったってことですかぁ...?

トーヤ:そうだね

アキ:そんな...めちゃくちゃ走り回ったのに...

ハルカ:まあ、でも結局入ってくれるなら...

チナツ:入らないって...絵も描かないって言って帰ったよ

ハルカ:え

トーヤ:まあ、今回は縁がなかったってことで

アキ:先生がその調子だからこの部活こんなに寂れてるんですよ!

ハルカ:そうですよ!今後の美術部のためにも今回は私、絶対に諦めませんからね!

トーヤ:え、寂れてる?

アキ:部員二人!受賞経験もほぼない!そもそもコンクールへの出品自体全然できてない!美術室も気がついたら合唱部の練習部屋にされてる!これで栄えてるっていう人いたら、僕、鼻でピーナッツ食べますよ

ハルカ:今頑張らなきゃまじで潰れちゃいますよ!それでいいんですか顧問!

トーヤ:......頼もしいなぁ

アキ:なんで他人事なんですか!

ハルカ:そういうわけで明日作戦会議するから、アキ、美術室確保しておいてね

アキ:え、僕?!

場転

翌日、美術室。アキが申し訳なさそうに発声を始めた合唱部員を追い出している

アキ:いや...その...ここ、一応うちの部室なんで...えっと、だから美術部なので、美術室...いつも使ってるって...でもうちの部室なんですよ...すみません...

そして誰もいなくなった

アキ:ん?なにがすみませんなんだ?元々ここうちの部室...

ファイルを持ったハルカ、手ぶらのチナツが入ってくる

チナツ:...美術室って広いね

ハルカ:さあ、作戦会議をしようか

アキ:先輩、そのファイルは

チナツ:順を追って説明したいみたいだから今は突っ込まないであげて

アキ:...はい

ハルカ:

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