虚言癖

嘘嘘うるせえな

虚言癖

どこかにあの日僕は万引きをした~みたいな記述をつけてほしい

タカシ 無個性、別に男である必要もない

ゆかり  ゆるふわ虚言ガール

ソラ イライラめんどくさガール

客  客席のみんな

探偵もの犯人は~みたいなシーン

ゆかりが探偵っぽい感じで舞台上をぐるぐると回っている

ゆかり:ここまではわかってもらえましたか

ソラ:で、犯人は誰なの

ゆかり:ふふふ...そう慌てないでくださいよ。最初から私言ってるじゃないですか

ゆかり、決めポーズ

ゆかり:犯人は、この中にいます!

タカシ:でも...

ゆかり:(タカシを手で制する)そして...それは、あなたですね(客席を指さす)

タカシ:えっ

ソラ:は?

沈黙ののち、タカシはゆかりをなだめすかしながら奥に連れて行き、ソラが弁解を始める

ソラ:お客さま、申し訳ありませんねえ。うちの従業員が...あの子虚言癖があって...普段から変なこと言ってるんですけど、何か起こるとああやって探偵ごっこやるんです。大体私を指名して終わりだから放置してたんですけど...まさかお客さんにまで...本当にすみませんでした...あ、お会計ですか?...ありがとうございました

ソラが商品をひとつくすねたところでタカシ、帰ってくる

ソラ:お疲れ様です、店長

タカシ:お疲れ様、ごめんね一人にしちゃって

ソラ:いえ、"名探偵"の相手よりはずっと楽ですし

タカシ:あの子なあ...頭も良いし気もきくんだけどなあ

ソラ:あの癖は致命的ですよね

タカシ:うん

ソラ:お客さんにまで声かけだしたらもうアウトですよ

タカシ:だよねえ...どうしたもんか

ソラ:クビにすれば良いんじゃないですか

タカシ:代わりの人も見つからないんだよ...交通の便が悪すぎるし治安も...

ソラ:確かにここ、お客さんさえ来ないですもんね

タカシ:それ、店長に言うの

ソラ:そうですね

タカシ:(ため息)ゆかりちゃん愛想良いし可愛いんだけどなあ...本当なんでああも・・・

ソラ:今流行りの不思議ちゃんって奴じゃないですか

タカシ:はやってるんだ

ソラ:すみません、流行ってないです

タカシ:(ため息)

ゆかり入ってくる

ゆかり:すみませーん一人だけ休憩もらっちゃって

タカシ:大丈夫大丈夫...ゆっくりできた?

ゆかり:はい!スマホもOKっておっしゃってたのでちょっと彼氏と喋ってきたんです

タカシ:...ああ、そうなんだ

ソラ:ハーバードだっけ

ゆかり:うん!私なんかよりずっと頭が良いってことは知ってたんだけど、頭良すぎて留学しちゃうなんて思わなかったな

ソラ:へーそーなんだ

ゆかり:なんか英語ペラペラになっちゃってるし、遠い人になっちゃったなぁー

ソラ:はじめから近くなんてないでしょ

ゆかり:え?

タカシ:(咳払い)ソラちゃん、休憩、休憩入ろう!疲れたよね!すっごく!

ゆかり:店長さんも休憩されてはどうですか?どうせお客さん来ないですし

タカシ:いやあ僕は...

ソラ:ありがとうございまーす休憩はいりまーす

タカシ:...お言葉に甘えようかな

二人、出て行く。ゆかりのケータイが鳴る

ゆかり:あっ...マナーモード忘れてた......紫苑君...

まわりをみまわして電話に出ちゃう(お客さん来ないしいいよね)

ゆかり:もしもし。どうしたの、さっきまで話してたじゃん......え、お土産何が良いか?それLINEで聞いてよ......ちょっと、そんな、キザなこと言わないでよ照れるじゃん......うん、ありがとう。私も大好きだよ

話してる途中で照明変化、場面転換

バックヤード的な

タカシ:あれ...

ソラ:どうしたんですか

タカシ:また財布がない...

ソラ:どうせまた変なところに置いてるんじゃないですか

タカシ:いやあ...いつもごめんね

ソラ:あの子にはばれないようにしてくださいよ。めんどうだから

タカシ:うん...いつも犯人役になってもらっちゃってるよね、ごめん

ソラ:別にそこらへんはどうでもいいんですけど...店長だって不倫疑惑、かけられてるじゃないですか

タカシ:でもそれは

ソラ:私より心労大きいんじゃないですか?(笑)

タカシ:でも最初に犯人扱いされたときソラちゃんだって凄い顔してたじゃん

ソラ:それは...。なるでしょう、最初は,普通

タカシ:慣れたんでしょ?僕もだしお互い様だよ

ソラ、無視。ポケットからさっきくすねたお菓子を出して食べる

タカシ:全部「嘘」なんだから気にしなくていいんだよ

ソラ:「嘘」

タカシ:みんなが嘘って言えばそれは嘘でしょ?

ソラ:...そういえば、そもそもふたりも雇ってる意味あるんですか?

タカシ:どうした急に

ソラ:店出てるのひとりで十分だし裏の仕事結局店長ひとりでやってるじゃないですか

タカシ:うーん...賑やかな方が良いじゃん?

ソラ:潰れますよ

タカシ:まあ...そうなんだよなあ...

ソラ:だからあの子クビにすれば良いじゃないですか

タカシ:...でもなあ

ソラ:でも?

タカシ:かわいいじゃん

ソラ:馬鹿ですか?

タカシ:顔が、とかじゃなくってさ、結構長い間来てくれてて、なんか娘みたいで

ソラ:...ふーん

タカシ:どうしたの?

ソラ:あの子のこと、そんなに可愛いんだ

タカシ:ごめんって。ソラの方がもっと可愛いよ

ソラ:(そっぽむく)

タカシ:どうやったら許してくれる?

ソラ:そうですね、じゃあ

ゆかり:てんちょー、ちょっといいですかー?

タカシ:えっ...あ、はーい...ごめん

ソラ:...ふーん

タカシ、出て行く。ソラは誰も見ていないことを確認すると男物の財布を取り出して中身から何枚か札を抜きちょっと目に付きにくい位置に投げ捨て、お菓子を食べきる

ソラ:ばっかだねえ...

ゆかり:なにが?

ソラ:(ちょっとびっくりする)...いつの間に

ゆかり:店長の奥さんが来てたから交代してきたの。あ、それ私も美味しそうだなって思って見てたんだ。新発売だっけ

ソラ:そうなんだ

ゆかり:ひとりで外いたときに紫苑君から連絡来たんだ、びっくりしちゃった

ソラ:びっくりだね

ゆかり:お山に布団が吹っ飛んだ

ソラ:おやまあ

ゆかり:聞いてる?

ソラ:聞いてるよ

ゆかり:えー

ソラ:いつも私こうじゃん

ゆかり:でも店長にはもっと違う感じだよ

ソラ:上司だから

ゆかり:それにしてもさぁ

ソラ:ていうか。奥さんわざわざ職場に、こんな時間になにしに来たの

ゆかり:店長の浮気のことじゃないの?

ソラ:またそんなこと言って

ゆかり:えー、だって店長頻繁に洗剤とかシャンプーの香り変わるからさあ

ソラ:そういうの聞きたくないからやめて。なんか生々しい

ゆかり:はーいごめんなさーい...店長のお子さん、来てたよ。手振ってくれてかわいかった

ソラ:子供好きじゃない

ゆかり:つれないなあ

女性のヒステリックな叫び声(浮気責める系)、乾いた音

ゆかり:いまのって...

ソラ:店長!!

ソラがかけだしていく

言い争う声(声のみ)

ゆかり:...ソラって良い子だなあ。良い子、なのかな?うーん、良い子...

ソラ:ごめんゆかり、店出て

ほっぺたを派手に腫らしたタカシとソラが入ってくる

ゆかり:派手にやりましたねえ...

タカシ:ははは...怒られちゃった

ゆかり:浮気するからですよ

タカシ:してないよ

ゆかり:それ、さすがに無理がありますよ。全部聞こえてましたから

タカシ:してないよ

ゆかり:そう、ですか

ソラ:...ねえ、いい加減にしたら?

ゆかり:え?

ソラ:その、虚言癖

ゆかり:わたし?(タカシ:ちょっとソラちゃん)

ソラ:私は何回犯人扱いされれば良いの?店長はいつまで不倫疑惑を抱えていれば良いの?お客さんはみんな泥棒なの?ねえ?教えてよ?

ゆかり:...

ソラ:適当なこと言って注目されるの楽しい?こっちはただ不愉快なんだけど。店長だってあんたが適当なこと言うせいで今まさに迷惑被って―

ゆかり:...だって

ソラ:なに

ゆかり:だって、本当のことじゃん

ソラ:...なにいってんの

ゆかり:ソラが一人になった時ばっかりレジまわりのお菓子消えるし、店長とソラ二人っきりになるたびに変な空気なってるし洗剤もシャンプーも一緒だし、こんなの私じゃなくたって

ソラ:見たのはゆかりだけなんでしょ?

ゆかり:今日のお客さんだってほんとに(客席向く)

ソラ:だから―

タカシ:あーはいはいストップストップ、ソラちゃん、気持ちはわかるけど落ち着いて

ソラ:...

タカシ:ゆかりちゃんも、あんまり刺激しないであげて?

ゆかり:......はい

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