風邪を引いてしまった。
やりたいことやったらこうなった。後悔も反省もしてる
さやか:風邪を引いてしまった。普段はおしゃべり過ぎる
のぞみ:さやかの友人、優しいおとなしい子
母:さやか's母、心配性で隙あらば強制送還したがるし世話を焼きたがる
幽霊:どこで喋ってんの君
(声のみ)
さやか:だるい。寒気がするのに体がほてっている。寝返りをうつのも一苦労。寒い。起きたくない。これはもしかするとと思って熱を測ったらギリギリ8度に届かないくらいだった。ギリッギリ。体は痛くないし、きっとインフルエンザではないが、これは、風邪というやつだろう...まあいっか、寝よ
着信音、明転
さやか:...はい
母:アンタ大丈夫?
さやか:...はい?
母:風邪だって
さやか:なんで知ってんの
母:LINE
さやか:してたっけ
母:相当まいってるじゃん
さやか:そうだね...寝て良い?
母:帰ってくれば?迎え行くよ?
さやか:いらない、寝たい
母:でもアンタ、ひとりでしょ
さやか:寝てれば治るから
母:折角近いんだから
さやか:大丈夫です
母:じゃあお母さんが行こうか?ちょうど休みだし
さやか:大丈夫。休みくらい休んで
母:アンタご飯食べてるの?
さやか:...食べた
母:嘘でしょ
さやか:食べたってば
母:(ため息)今からそっち行くから
さやか:いやマジで大丈夫だって、寝てれば治るって
母:はいはい、寝てな
つーつー
さやか:...うっそでしょ...薄い本...
力尽きたように一瞬寝る、しかしゾンビのように起き上がりふらふらしながら薄い本を片
付けようとするが降りるだけで疲れてしまい、回収は諦める。幽霊が出てくる。
さやか:...やっべ、幻覚見えだした...寝なきゃ
幽霊はさやかが寝直すのを介助してやる。優しい。さやかもなんとなくお礼を言う。しか
し再び電話が鳴る。
さやか:のぞみー
のぞみ:大丈夫?
さやか:...全然
のぞみ:っぽいね。出席やっといたよ
さやか:...神
のぞみ:なんか持ってった方が良い?
さやか:それは大丈夫、けど片付けを
のぞみ:片付け?
さやか:親が来る。薄い本が
のぞみ:ああ。行こうか?
さやか:至急、お願いしたい
のぞみ:りょーかい、あと10分くらいかな
幽霊:ありがてえ。嬉しい。てかのぞみ来てくれんのか...昨日もうちょっと片付けときゃ良かったな...
さやか:...キイエアア?!??!シャベッタァ?!!??
幽霊:...
さやか:気のせいか
幽霊:気のせいか
さやか:...(幽霊をじっと見つめる)
幽霊:...(さやかをじっとみつめる)
さやか:いや、これは、しゃれにならないぞ
幽霊:きっと熱で頭参ってんだ、あ、でも8度もいってなかったな
さやか:どうすればいいんだろう
幽霊:というか、いってる内容、なんか
さやか:うん、寝よう
幽霊:寝れなさそうだけど
さやか:...なんなんだこいつ
幽霊:そういや電話切ってたっけ
さやか:大丈夫...
幽霊:なんか考え読まれてるみたい
さやか:...
幽霊:&%#&%&#%
さやか:読んでるね
幽霊:(さやかと同時)読まれてる
さやか:...しゃれに、ならない
幽霊:のぞみこれから来るのに
さやか:そうなんですよ。寝たら消えてくれる?
幽霊:聞いてもわかんないか
さやか:むなしいな、寝よ
幽霊:疲れた。...のぞみ、来るのか。いつまで経っても慣れないな。好きな子が自分の部屋に立ってるの...悪質なコラージュみたい。嘘くさい。友達。うん、友達。友達だから。来てくれるのは、友達だと、思ってくれているから。
さやか:何言ってんの
幽霊:...友達。友達。のぞみは友達。...友達
さやか:そう
さやか、寝る
ノック音がして(「さやかー?」の声)も起きないので幽霊が揺さぶって起こす
起きたさやかは這って玄関の鍵を開け、入ってきたのぞみと幽霊に介助されベッドに戻る
さやか:...ごめん
のぞみ:...しんどそうだね。寝てて大丈夫だよ
さやか:あざ
のぞみはゆるっと微笑んで片付けに入る
幽霊:かわいい。優しい。私の部屋で動き回ってるのやっぱり慣れない。あ、ごめん触手もの置きっぱだった。はっず。
さやか:服、可愛い
のぞみ:そう?ありがと(おどけてスカートの裾をつまんでくるりと回る)
幽霊:ンガアアアアガワイイヨオ゛オオオオ(頭を抱えてのけぞり勢いよく崩れ落ちる)
さやか:なにやってんの
のぞみ:ふふ
さやか:そういうとこだよ
のぞみ:田中君は好きって言ってくれるからいいの
さやか:あーはいはい
幽霊:...田中
のぞみ:あ、そうそう、今日も会うんだ
さやか:だから精一杯のおめかし?
のぞみ:そうだよ。可愛いでしょ
さやか:うん
のぞみ:...本当にきつそうだね
さやか:そう?
のぞみ:返事短いし
さやか:まあ、風邪引いてるから
のぞみ:にしても物静かじゃん、水くらい飲んだの?
さやか:...
のぞみ:そんなことだろうなと思ってた(水のペットボトルをとりだす)
さやか:あざ
のぞみ:飲める?
さやか:...
幽霊:これは、飲めないって言ったら飲ませてもらえる奴だろうか
のぞみ:飲まそうか?
幽霊:んんん~~~いやでもがっついたらだめ~~~、だけど是非飲ませてほしい、けど変に思われたら
さやか:...ばぶー
のぞみ:(笑)はーい。赤ちゃんおみじゅでちゅよ~
幽霊:...うほっ?
飲ませてもらう
幽霊:うわああああああああああ!!!?!......風邪...ばん...ざ...い(崩れ落ちる)
さやか:あーいい嫁さんもらったなあ
のぞみ:こんな手のかかる旦那は知らないですねえ
さやか:捨てられちゃった
のぞみ:捨てられたさみしさに震えながら寝ましょうね~
さやか:はーい
のぞみ:じゃあ、これ手の届くあたりにおいとくから。お母さんそろそろじゃない?
さやか:あー...わからない
幽霊:どうでもいい
のぞみ:そろそろだと思うよ。さやかのためなら自家用ヘリ使ってでも来る人なんでしょ?
のぞみ、なんとなくさやかの手を握る(幽霊「おてて!!」)
さやか:あれば使いそう
のぞみ:ということで、もう行くね
幽霊:え
さやか:...だめ
のぞみ:えー
さやか:嘘
のぞみ:まったく、手のかかる旦那さんですね
さやか:その設定続いてたんだ
幽霊:引き留めちゃ駄目
のぞみ:私が行っても泣いちゃ駄目ですよ
さやか:泣かねーよバーロー。早く行っちまえ
幽霊:抱きつきたい
のぞみ:そんなこと言うなら手を離してくださいよ
さやか:...ひんやりしてて気持ちいいからなぁ(すりすり)
幽霊:キスしてほしい
さやか、動揺して手を振り払う
のぞみ:さやか?
さやか:...ごめん、もう大丈夫
のぞみ:急にどうしたの
さやか:引き留めちゃってごめんね
のぞみ:ねえ
さやか:帰って。私は寝る
のぞみ:...じゃあね
のぞみ、立ち去る
幽霊:帰っちゃった
さやか:帰るさ
幽霊:もっと触れたかっt
さやか:黙れ
幽霊:変な奴のせいで全然ゆっくりできない
さやか:よくわかってんじゃん
暗転
(声のみ)
さやか:―一般道で80キロはさすがにやばいよね、車の運転の仕方に性格出るって言うけどさ、あれほんとだよ絶対。しかももっと出してるときもあってさ、カーブとかGかかってんのわかるんだよ。やばくない?まあ元彼なんだけど
のぞみ:え?!そうなの?
幽霊:2回目
のぞみ:ありがとう!ごめん、私なにもしてないのに...誕生日、いつだった?
さやか:2月だよ。まだ
幽霊:5回目
のぞみ:その時店長が...でね...
幽霊:12回目...12回目だよ、その話
さやか:だからなに
幽霊:興味ないんだね
さやか:私だってそうだよ、こんな些細異な話。普通でしょ
幽霊:私は忘れたことないのになあ
さやか:覚えてらんないよ、私忘れっぽいもん
幽霊:覚えてるよ。だって(ノイズ)
さやか:なにいってんの
明転
母:...なにも言ってないけど
さやか:いつの間に
母:チャイムならしても返事なかったから。ちょっと部屋整理しといたよ
さやか:ごめん
母:林檎とおかゆ、どっちがいい?
さやか:いい、いらない
母:無理にでもなんかおなかに入れといた方が
さやか:おなか減ってない
母:そう...水飲んだ?
さやか:飲んだ
母:ほんとに?
さやか:枕元。持ってきてもらった
母:あら。よかったじゃん
さやか:うん、だから大丈夫
母:...彼氏?
さやか:なにいってんの
母:じゃあ誰?
さやか:友達
母:本当に?
さやか:そもそも彼氏いないし
母:えーいるんでしょー?
さやか:くだらないこと言わないで
母:くだらないって
さやか:私に、彼氏は、いない
母:えー、いつもそんなこと言っちゃって―
幽霊:黙れよ
さやか:......時間、大丈夫なの
母:ああ、うん。お父さんにも連絡はしてるから
さやか:明日仕事じゃない?
母:そうだよ
さやか:私はもう大丈夫だから
幽霊:帰って
母:帰ったら、おばあちゃんいるから
さやか:...そっか
母:泊まろっかなー
さやか:...
母:冗談だよ、帰るよ
さやか:...おばあちゃんまだあの教会行ってるの?
母:うん
さやか:そっか(幽霊「...ごめん」)
母:お父さんとも毎晩けんかしてる
さやか:そっ、か(幽霊「...ごめん」)
母:お母さんちょっと寝不足なんだよね
さやか:寝なよ
母:寝たいよ
さやか:...
母:...さやかもさっさと帰ってほしそうだし、そろそろ帰ろっかな
さやか:...
母:おかゆレンジの中に入れてるのと、冷蔵庫の中に林檎あるから
さやか:ありがとう
母:さー帰って晩ご飯作ろ
さやか:いらないんじゃないの?
母:...そうだった
さやか:...
幽霊:最近こういうこと多い
さやか:しっかりしてよ、お酒飲みすぎなんじゃない
母:最近はそんなに飲んでないよ
さやか:ビール何本?
母:...さあ?
さやか:飲酒運転、つかまるよ
母:大丈夫だよ。...きつかったら迎え行くからね、連絡しなさいよ?
さやか:大丈夫
母:おかゆレンジの中に入れてて、冷蔵庫の中に林檎ある
さやか:それさっきも言った
母:...そうだっけ。じゃあ、帰るよ
さやか:うん
母:あ、そうだ薬。おなか空っぽの時飲まない方が良い奴だからご飯食べるときに飲みなさいよ、おいとくから。
さやか:あー...ありがとう
母、出て行く。
幽霊:...ごめんなさい
暗転